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3. 構造が見えない悩み

事業の全体像が見えないときは? どの判断が、次の判断の前提になっているかを見る

RBTDESIGN

2026/3/10 03:00

毎日の仕事は回っている。売上も、課題も、だいたい頭に入っている。

それでも、ふと「うちの事業は、全体としてどうなっているんだろう」と感じることがあります。

やるべきことは、たくさんある。でも、何から手をつければいいのか分からない。

ホームページを新しくするべきか。人を採用するべきか。新しい商品を考えるべきか。

どれも大切で、どれも急いでいるように思える。

事業の全体像が見えないとき、足りないのは情報とは限りません。

見えていないのは、判断と判断のつながりかもしれません。

これを決めるには、先に何を決める必要があるのか。その判断が決まると、次に何を決められるようになるのか。

こうした関係が見えてくると、事業の全体像は、単にすべてを並べた図ではなく、次にどこから考えればよいのかを示すものになります。

採用もホームページも、まとめて任せたかったQ社長

Q社長は、基礎工事にかかわる建設会社を経営しています。

仕事はある。けれど、人が足りない。

人手が足りないため、受けられる工事が限られてしまう。そんな状態が続いていました。

何もしてこなかったわけではありません。

求人媒体への掲載、知人からの紹介、実習生の受け入れ、ホームページの開設。

いろいろ試してきました。

それでも、思うように採用できない。採用できても、長く働いてもらえない。

高い費用を払ったのに成果につながらなかったことも、人をめぐるトラブルもありました。

初めてお会いしたとき、Q社長は、こうした問題をまとめて任せられる人を探していました。

人を集めること。入った人が辞めないこと。雇用のルールを整えること。ホームページを改善すること。

Q社長にとって、それらはすべて「人手が足りない」という一つの大きな問題だったのです。

全部が一つの問題に見えるとき

事業の全体像を整理するとき、よく勧められるのは、課題を書き出すことです。

問題を洗い出す。数字を集める。項目ごとに整理する。図にまとめる。

もちろん、どれも役に立ちます。

ただ、課題をすべて書き出しても、それだけでは何から始めればよいのか分からないことがあります。

Q社長の場合も、問題そのものは見えていました。

採用、定着、労務、ホームページ。

足りなかったのは、問題の数や情報ではありません。

それぞれが、どう関係しているのか。

どれを先に考える必要があるのか。どれは別の専門家に任せるべきなのか。

その関係が整理されていなかったのです。

関係が見えないと、すべてが同じ重さで、同時にのしかかってきます。

「全体が見えない」という感覚は、問題が多いことよりも、問題どうしの関係が分からないことから生まれる場合があります。

話を分けてみると、順番が見えてきた

Q社長との対話では、まず問題を分けて考えてみました。

  • 人を集めること。

  • 入った人が働き続けられるようにすること。

  • 就業規則や雇用条件を整えること。

  • ホームページをつくること。

一つの問題に見えていたものも、分けてみると、必要な知識や取り組み方が違います。

採用では、どんな人に来てほしいのか、会社の何を魅力として伝えるのかを考える必要があります。

一方、就業規則や雇用条件を整えるには、労務の専門知識が必要です。私は労務の専門家ではありません。そのことも、はっきりお伝えしました。

「分かりやすい」

Q社長は、そう受け止めてくれました。

そして、話を分けることで、もう一つ見えてきたことがありました。

それは、判断する順番です。

例えば、ホームページ。

これまでうまくいかなかったから、新しくつくり直したい。

そう考えるのは自然なことです。

でも、ホームページは、つくること自体が目的ではありません。

誰に、何を伝えるのかが決まって初めて、載せる内容や見せ方を考えられます。

では、誰に、何を伝えるのかは、どう決めるのでしょうか。

その手前には、さらに別の判断があります。

どんな人に来てほしいのか。

この会社で働くことには、どんな価値があるのか。

ほかの会社ではなく、この会社を選んでもらう理由は何か。

そこがはっきりしていなければ、ホームページを新しくしても、以前と同じ問題が残るかもしれません。

うまくいかなかったのは、ホームページという手段が悪かったからとは限らないのです。

全体像は、判断の前後関係から見えてくる

全体像というと、事業のすべての要素を一枚に並べた図を思い浮かべるかもしれません。

売上、商品、顧客、社員、組織、営業、資金。

それらを整理すれば、事業を広く見渡すことはできます。

ただ、経営者が次の判断をするためには、もう一つ大切なことがあります。

どの判断が、その先の判断の前提になっているのか。

Q社長の会社なら、次のように考えられます。

まず、どんな人に来てほしいのかを決める。

そうすると、その人に伝えるべき会社の魅力を考えられる。

何を伝えるかが決まれば、求人情報やホームページに載せる内容を具体的にできる。

そして、就業規則や雇用条件の整備は、それとは別の専門的な課題として、必要に応じて専門家と進めていく。

こうして並べると、すべてが一つになっていた問題が、少しずつ整理されていきます。

ここで大切なのは、必ず一つずつ順番に実行するという意味ではないことです。

採用と労務の整備は、同時に進められるかもしれません。

ただ、ホームページで何を伝えるのかを考えるには、その前に明らかにしておきたいことがあります。

仕事をする順番と、判断に必要な前提の順番は、必ずしも同じではありません。

何から手をつけるべきかを考えるとき、この違いを知っておくことが役に立ちます。

一人で抱えていると、関係が見えにくくなる

なぜ、こうした判断のつながりは見えにくくなるのでしょうか。

一つの理由は、経営者が多くの問題を同時に抱えていることかもしれません。

現場の段取りを考えながら、採用のことも考える。

求人会社と話したあとに、ホームページの見積もりを見る。

社員の相談に乗りながら、次の工事のことも決める。

どれも自分の会社のことです。簡単に後回しにはできません。

だからこそ、一つひとつの問題が大きく見えて、互いの関係まで考える余裕がなくなることがあります。

Q社長が外部の人間に求めていたのも、単に専門知識を教えてもらうことだけではなかったように思います。

「求人会社の目線じゃないのです。この会社に合わせた目線がほしい」

これまで受けてきて失敗された支援について、Q社長はそう話していました。

一般的なやり方を当てはめるのではなく、この会社の事情を理解して考えてほしい。

何が問題なのかを、一緒に整理してほしい。

そこには、知識を持った専門家だけではなく、自社の問題を広く見渡し、判断のつながりを一緒に考えてくれる相手を求める気持ちがあったのかもしれません。

自社の判断のつながりを確かめてみる

自社でも、同じように確かめることができます。

まず、いま抱えている課題をいくつか書き出してみてください。

採用、営業、商品開発、ホームページ。目の前にある問題で構いません。

次に、それぞれについて、こう問いかけます。

「これを決めるためには、その前に何が決まっている必要があるだろう?」

例えば、ホームページで何を伝えるかを決めるには、誰に何を届けたいのかが必要かもしれません。

誰に届けたいのかを決めるには、自社がどんな価値を提供できるのかを考える必要があるかもしれません。

こうして、一つずつ手前の判断をたどっていきます。

答えが別の課題につながったら、二つを線で結んでみます。

すると、いくつもの課題が、同じ判断につながっていることがあります。

反対に、ほかの課題とは分けて考えたほうがよいものも見えてきます。

ただし、すべてを無理につなげる必要はありません。

会社によって、状況によって、判断の前後関係は違います。

また、調べてみないと決められないこともあります。

大切なのは、正しい図を完成させることではありません。

今、どの判断が止まっていて、そのために何が決められなくなっているのかを見つけることです。

それが分かれば、次に取り組むことも、少しずつ明確になります。

Q社長の現在地

最初の面談で、すべての問題が解決したわけではありません。

採用する人も、ホームページで伝える言葉も、まだ決まっていません。

それでも、整理できたことがあります。

採用と労務制度の整備は、分けて考える必要があること。

ホームページは、それ自体が目的ではなく、伝えたいことを届けるための手段であること。

そして、その手前には「どんな人に来てほしいのか」「この会社で働く価値は何か」という判断があること。

それまで一つの大きな問題に見えていたものが、いくつかの異なる課題として見え始めました。

「全部を任せたい」という相談は、「何を、どこまで、誰と考えていくのか」を選ぶ話へと変わってきたように思います。

まだ答えは出ていません。

でも、何を考える必要があるのかが分かることも、大切な前進なのです。

あなたの事業では、どの判断が前提になっていますか

事業の全体像が見えないとき、すぐに情報を集め直したり、大きな図をつくったりする必要はないかもしれません。

まず、いま気になっている問題を一つ選んでみてください。

それを決めるには、何が先に決まっている必要があるでしょうか。

その手前には、さらに何があるでしょうか。

たどっていくと、いくつもの問題につながっている、一つの判断が見つかるかもしれません。

逆に、これまで一緒に考えていた問題を、分けたほうがよいと気づくこともあるでしょう。

全体像が見えるというのは、事業のすべてを知っていることではありません。

何と何がつながっていて、どこから考えれば次の判断に進めるのかが分かっていること。

それも、事業の全体像を理解する一つの形だと思います。

あなたの事業では、どの判断が、その先の判断の前提になっているでしょうか。


→ どの判断が前提になり、どこで止まっているのかを確かめる(準備中)

→ RBTDESIGNが社長とどう考えるのかを見る(公式サイト)