8.UNLOCK MODEL
MODEL010 ある介護業の憂鬱|組織が回らない理由がわからない
UNLOCK
順調に見える事業でも、なぜか次の一手だけが決まらないことがあります。
方向性は見えている。選択肢もある。それでも、最後の判断で止まってしまう。
なぜ、この状態が起きるのでしょうか?
現状の整理
2010年設立の介護法人
小規模多機能施設・住宅型有料老人ホームの4施設を運営
地域密着型で介護・福祉サービスを提供
前任者死去後、組織体制を再構築して運営
小規模法人の強みはあるが、ガバナンス機能が不十分
理事長と現場職員の関係性が曖昧
組織マネジメント機能が弱い
職員の専門性向上やモチベーション向上が進まない
中長期計画の策定が進みにくい
職員の力を引き出しきれていない
なぜ組織が整わないのか?
岡山県にある介護法人。地域に根ざし、4つの施設を運営しています。理念は明確で、「利用者の立場に立つ」という軸もぶれていません。現場のケアも丁寧で、小規模ならではの良さもある。
それでも、経営はどこか不安定でした。
理事長は現場に入り込み、職員との距離は近い。しかしその近さが、役割の曖昧さを生んでいました。誰が判断し、誰が責任を持つのかがぼやけている。結果として、組織マネジメントが機能しない。
「やるべきことは分かっている。でも進まない」
職員の育成、モチベーション向上、中長期計画の策定。どれも重要だと理解している。それなのに、何から手をつけるべきか決められない。
これは努力不足ではありません。
判断が止まっている状態、つまりLOCKです。
RBTDESIGNの見立て
この法人の状態を分解すると、3つのLOCKが重なっていました。
まず「混ざり」です。
現場の課題、経営の課題、人の問題、制度の問題が同じテーブルに並んでいる。比較できないものが混ざっているため、どれも重要に見えてしまう。
次に「粒度の不一致」です。
「組織体制の見直し」と「職員の声を聞く」が同じレイヤーで語られている。大きさの違うテーマが並ぶことで、優先順位がつけられない。
最後に「軸の不在」です。
この法人は何を優先して判断するのか。現場の満足か、組織の安定か、将来の成長か。その判断基準が固定されていない。
この3つが同時に起きると、意思決定は止まります。
そこで行ったのはUNLOCKです。
やることはシンプルでした。
混ざっているものを分ける。
粒度を揃える。
そして、判断の軸を一つに決める。
具体的には、まず課題を「現場運営」と「経営設計」に分離しました。
次に、それぞれの中で同じ粒度に揃え、比較可能な状態にする。
そして最後に、「組織として持続するための意思決定」を最優先の軸として固定しました。
ここで初めて、「どこから手をつけるか」が見える状態になります。
次の一手
結論は明確です。
理事長と現場の役割を切り分けること。
理由はシンプルです。
組織マネジメントが機能しない原因は、「誰が経営を担うのか」が曖昧なことにあります。
理事長は現場に入るのではなく、経営に専念する。現場は役職者を中心に運営する。
この構造に変えることで、意思決定の流れが生まれます。
すべての課題に手をつけるのではなく、「構造」を変えることが最優先です。
最後に
この話は、介護業界に限ったものではありません。
いま、あなたの中にも同じ状態があるはずです。
次の3つから1つ選んでください。
やるべきことが多すぎて決められない
何から手をつけるべきか分からない
優先順位の基準が曖昧
そして、1つだけ決めてください。
どこから変えるのか。
もし決められないなら、それがLOCKです。
その場合は、一度整理してみてもいいかもしれません。
※注釈:LOCKとは、判断が止まっている状態を指します。原因は「混ざり」「粒度不一致」「軸不在」のいずれかです。UNLOCKはそれらを取り除き、判断できる状態に戻すことを意味します。
本記事は、RBTDESIGNの実際の支援事例ではありません。公開されていた事業相談をもとに、企業が特定されないよう一部情報を変更し、RBTDESIGNのUNLOCKがどのように事業の「判断の詰まり」を見立てていくのかを、具体的に理解していただくためのモデルとして構成しています。