8.UNLOCK MODEL
MODEL013 ある食品製造業の憂鬱|外国人観光客が通るのに、なぜ売れないのか?
UNLOCK
京都の観光地には、毎日たくさんの外国人観光客が訪れます。しかし、人はいるのに、なぜか商品が売れない。
今回の相談は、そんな京都のある漬物店から始まりました。
京漬物という文化的価値の高い商品を扱いながらも、外国人観光客の購買に繋がらない。店舗前は賑わっているのに、通り過ぎられてしまう。
そこで、
英語POPを増やすべきか
試食を強化するべきか
おにぎりと組み合わせるべきか
ギフト需要を狙うべきか
海外向け商品を開発するべきか
アイデアは次から次へとたくさんあります。
しかし、考えれば考えるほど、「結局、何を主役にすべきなのか」が分からなくなっていました。
なぜ“人はいる”のに売れないのか?
RBTDESIGNでは、まず「漬物が売れない理由」ではなく、“何が混ざっているか”を見ました。
すると、複数のものが同じ場所に存在していました。
京都文化としての漬物
日本人の日常食としての漬物
発酵食品としての漬物
お土産としての漬物
ヘルシーフードとしての漬物
つまり、「漬物とは何か」が固定されていなかったのです。
日本人にとって漬物は説明不要の存在です。しかし外国人にとっては違います。
ある人には“ピクルス”に見える。ある人には“発酵食品”に見える。ある人には“見たことのない食べ物”に見える。
この認識のズレが、購買停止を起こしていました。
さらに、
文化を伝えたい
売上を伸ばしたい
京都らしさを出したい
持ち帰りやすくしたい
利益率は落としたくない
という複数目的も混ざっていました。
その結果、どの施策も正しく見えてしまい、逆に決められなくなっていたのです。
RBTDESIGNの見立て|問題は「施策不足」ではなかった
今回のLOCKは、「インバウンド施策不足」ではありませんでした。
本当のLOCKは、“外国人にとって漬物を何として認識させるか”が決まっていないことでした。
そこで、まず比較可能状態をつくりました。
最初に行ったのは、「誰に、何として見せるのか」を分けることです。
例えば、
京都文化体験として売るのか
発酵ヘルシーフードとして売るのか
旅の思い出土産として売るのか
この3つは似ていますが、まったく別物です。
次に、粒度を揃えました。
「商品開発」と「POP改善」と「世界観設計」が同列で議論されていたため、まずは“認識設計”を上位概念として固定。
そのうえで、最後に軸を決めました。
今回は、「京都を持ち帰る小さな文化体験」という軸に固定したことで、ようやく施策の優先順位が見え始めたのです。
次の一手|まず“外国人の認識”を観察する
今回の次の一手はシンプルでした。
「外国人観光客が、漬物を何として見ているかを分類する」
売り方を考える前に、
なぜ立ち止まったのか
なぜ通り過ぎたのか
何に見えていたのか
を観察する。
ここが見えないまま施策を増やすと、店舗全体が“何屋か分からない状態”になります。逆に認識が固定されると、
パッケージ
試食
店舗導線
英語説明
商品構成
すべてが繋がり始めます。
最後に
もし今、あなたの会社でも、
人は来るのに売れない
商品は良いのに伝わらない
アイデアはあるのに決めきれない
そんな状態が起きているなら、問題は「努力不足」ではないかもしれません。
まず選んでください。
商品の問題なのか
伝え方の問題なのか
“何として認識されているか”の問題なのか
そして、そのあとに1つだけ決めてください。
「誰に、何として見せるのか」
もしそれが決められないなら、そこがLOCKです。
RBTDESIGNでは、そうした“判断が止まっている場所”を整理する無料診断を行っています。
※注釈
LOCK=判断が止まっている状態
UNLOCK=混ざり・粒度不一致・軸不在を解除し、判断可能状態に戻すこと
本記事は、RBTDESIGNの実際の支援事例ではありません。公開されていた事業相談をもとに、企業が特定されないよう一部情報を変更し、RBTDESIGNのUNLOCKがどのように事業の「判断の詰まり」を見立てていくのかを、具体的に理解していただくためのモデルとして構成しています。