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1. 考えられない悩み

新規事業は何から考える? まず「会社の現在地」を分けてみる

RBTDESIGN

2026/3/22 03:00

新規事業を考え始めると、ついアイデアを探したくなります。

市場を調べる。成功事例を見る。社内で案を出す。

どれも大切です。

ただ、何から考えればいいか迷っているときは、アイデアを増やす前にやることがあります。

会社について、何が決まっていて、何がまだ決まっていないのかを分けることです。

新しい答えを探す前に、まず今いる場所を知る。

そのほうが、次に何を考えればいいのかが見えやすくなります。

「次の柱をつくりたい」と考えていたA社長

A社長は、住宅会社を経営しています。

これから先を考え、住宅とは別の収益の柱を持ちたいと考えていました。

同時に、もうひとつ大切にしていることがありました。

育ってきた地域に、何かを返したい。

つまり、「新規事業をやりたい」という一言の中に、少なくとも二つの願いが入っていました。

ひとつは、会社の収益を支えること。

もうひとつは、地域に還元すること。

どちらも大切です。

けれど、この二つは同じ物差しでは比べられません。

収益性の高い事業が、地域への還元につながるとは限りません。地域に役立つ事業が、会社の新しい柱になるとも限りません。

願いがいくつもあることが問題なのではありません。

違う願いを、ひとつの条件として扱ってしまうと、選びにくくなるのです。

アイデアが足りないのではなく、比べる基準がまだない

新規事業の進め方として、よく市場調査やアイデア出し、事業計画などが紹介されます。

どれも必要です。

ただ、その前に「何のために新しい事業をやるのか」「どんな事業なら、この会社がやる意味があるのか」が見えていないと、情報が増えるほど迷いやすくなります。

比べる物差しがないまま、比べるものだけが増えていくからです。

A社長との対話でも、最初に確認したのは事業案ではありませんでした。

「なぜ、住宅以外なんですか」

「地域に返したい、というのは、何ができたら達成ですか」

こうして話を分けていくと、「新規事業」という言葉の中に入っていた願いが、少しずつ見えるようになりました。

困っている場所と、判断が止まっている場所は、同じとは限りません。

「良いアイデアがない」と感じていても、その手前にある条件がまだ整理されていないことがあります。

まず、会社の今を4つに分けてみる

そこで、事業案を考える前に、会社の今の状態を4つに分けてみます。

決まっていること

すでに会社として決めていることです。

A社長の場合なら、「これからのために、新しい収益の柱を考える」ということは、かなりはっきりしていました。

仮説

今はそう考えているけれど、まだ確定していないことです。

たとえば「住宅とは別の事業がいい」という考えも、話してみると絶対条件ではないかもしれません。

不明

まだ答えが見えていないことです。

誰に何を届けるのか。地域への還元とは、具体的にどんな状態なのか。

ここは、これから考える必要があります。

要確認

考えるだけでは決められず、事実を確かめる必要があることです。

市場の大きさや、お客様のニーズ、自社の人員や設備で続けられるかどうかなどです。

この四つに分けるだけで、「全部が分からない」という状態から抜けやすくなります。

分からないのではなく、決まっていることと、これから決めることが混ざっていただけかもしれないからです。

「決まっていない」は、悪いことではない

新規事業を考えていると、「まだ決まっていないこと」が多いと不安になります。

けれど、最初から全部が決まっている会社はほとんどありません。

むしろ大切なのは、決まっていないことを、決まったことのように扱わないことです。

仮説なら、仮説のままでいい。

分からないなら、分からないと置いておく。

確かめる必要があるなら、調べる。

この区別ができると、考える順番が見えてきます。

新規事業で迷うとき、問題は「答えを持っていないこと」ではありません。

何がまだ答えになっていないのかが、見えていないことのほうが困ります。

願いを分けると、事業の条件が見えてくる

A社長の場合、「収益の柱をつくりたい」と「地域に返したい」を分けて考えることで、次に確認することが見えやすくなりました。

たとえば、

  • 数年後に会社を支えられる収益になるのか。

  • 会社が持っている技術や経験を活かせるのか。

  • 地域への還元につながるのか。

こうした条件が見えてくると、初めて事業案を比べられます。

市場調査やアイデア出しは、そのあとで十分です。

先に条件があるからこそ、魅力的に見える案でも「今回は違う」と判断できます。

新規事業では、良いアイデアをたくさん持つことよりも、何を基準に選ぶのかを持つことのほうが大切な場面があります。

「まず、会社のことを知る」という順番

対話の中で、A社長から「まず、会社のことを知らないといけないのかぁ」との言葉が出ました。

新しい事業を考えるとき、意識はどうしても会社の外へ向きます。

  • 何が流行っているのか。

  • どんな市場が伸びているのか。

  • 他社は何をしているのか。

もちろん、それも必要です。

ただ、その前に確認したいことがあります。

  • この会社は、何を大切にしてきたのか。

  • 何を変えたいのか。

  • 何は変えたくないのか。

  • 何がすでに決まっていて、何がまだ仮説なのか。

外に答えを探しに行く前に、会社の中を一度整理する。

それだけで、探すものはかなり変わります。

あなたの会社では、何がもう決まっていますか

新規事業は何から考えるのか。

最初から事業案を決める必要はありません。

まずは、会社の今を4つに分けてみてください。

決まっていること。

仮説。

不明。

要確認。

書き出してみると、「何も決まっていない」と思っていた会社にも、すでに大切な判断がいくつかあることに気づきます。

そして、本当に考える必要があることも見えてきます。

新しい事業を考えることは、ゼロから答えをつくることではありません。

今あるものを確かめながら、次に決めることを見つけていくことです。

書き出した「まだ決まっていないこと」は、事業全体のどこにつながっているのでしょうか。

決まっていないことは、事業のどこにつながっているのか(準備中)

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