1. 考えられない悩み
新規事業は何から考える? まず「会社の現在地」を分けてみる
RBTDESIGN
新規事業を考え始めると、ついアイデアを探したくなります。
市場を調べる。成功事例を見る。社内で案を出す。
どれも大切です。
ただ、何から考えればいいか迷っているときは、アイデアを増やす前にやることがあります。
会社について、何が決まっていて、何がまだ決まっていないのかを分けることです。
新しい答えを探す前に、まず今いる場所を知る。
そのほうが、次に何を考えればいいのかが見えやすくなります。
「次の柱をつくりたい」と考えていたA社長
A社長は、住宅会社を経営しています。
これから先を考え、住宅とは別の収益の柱を持ちたいと考えていました。
同時に、もうひとつ大切にしていることがありました。
育ってきた地域に、何かを返したい。
つまり、「新規事業をやりたい」という一言の中に、少なくとも二つの願いが入っていました。
ひとつは、会社の収益を支えること。
もうひとつは、地域に還元すること。
どちらも大切です。
けれど、この二つは同じ物差しでは比べられません。
収益性の高い事業が、地域への還元につながるとは限りません。地域に役立つ事業が、会社の新しい柱になるとも限りません。
願いがいくつもあることが問題なのではありません。
違う願いを、ひとつの条件として扱ってしまうと、選びにくくなるのです。
アイデアが足りないのではなく、比べる基準がまだない
新規事業の進め方として、よく市場調査やアイデア出し、事業計画などが紹介されます。
どれも必要です。
ただ、その前に「何のために新しい事業をやるのか」「どんな事業なら、この会社がやる意味があるのか」が見えていないと、情報が増えるほど迷いやすくなります。
比べる物差しがないまま、比べるものだけが増えていくからです。
A社長との対話でも、最初に確認したのは事業案ではありませんでした。
「なぜ、住宅以外なんですか」
「地域に返したい、というのは、何ができたら達成ですか」
こうして話を分けていくと、「新規事業」という言葉の中に入っていた願いが、少しずつ見えるようになりました。
困っている場所と、判断が止まっている場所は、同じとは限りません。
「良いアイデアがない」と感じていても、その手前にある条件がまだ整理されていないことがあります。
まず、会社の今を4つに分けてみる
そこで、事業案を考える前に、会社の今の状態を4つに分けてみます。
決まっていること
すでに会社として決めていることです。
A社長の場合なら、「これからのために、新しい収益の柱を考える」ということは、かなりはっきりしていました。
仮説
今はそう考えているけれど、まだ確定していないことです。
たとえば「住宅とは別の事業がいい」という考えも、話してみると絶対条件ではないかもしれません。
不明
まだ答えが見えていないことです。
誰に何を届けるのか。地域への還元とは、具体的にどんな状態なのか。
ここは、これから考える必要があります。
要確認
考えるだけでは決められず、事実を確かめる必要があることです。
市場の大きさや、お客様のニーズ、自社の人員や設備で続けられるかどうかなどです。
この四つに分けるだけで、「全部が分からない」という状態から抜けやすくなります。
分からないのではなく、決まっていることと、これから決めることが混ざっていただけかもしれないからです。
「決まっていない」は、悪いことではない
新規事業を考えていると、「まだ決まっていないこと」が多いと不安になります。
けれど、最初から全部が決まっている会社はほとんどありません。
むしろ大切なのは、決まっていないことを、決まったことのように扱わないことです。
仮説なら、仮説のままでいい。
分からないなら、分からないと置いておく。
確かめる必要があるなら、調べる。
この区別ができると、考える順番が見えてきます。
新規事業で迷うとき、問題は「答えを持っていないこと」ではありません。
何がまだ答えになっていないのかが、見えていないことのほうが困ります。
願いを分けると、事業の条件が見えてくる
A社長の場合、「収益の柱をつくりたい」と「地域に返したい」を分けて考えることで、次に確認することが見えやすくなりました。
たとえば、
数年後に会社を支えられる収益になるのか。
会社が持っている技術や経験を活かせるのか。
地域への還元につながるのか。
こうした条件が見えてくると、初めて事業案を比べられます。
市場調査やアイデア出しは、そのあとで十分です。
先に条件があるからこそ、魅力的に見える案でも「今回は違う」と判断できます。
新規事業では、良いアイデアをたくさん持つことよりも、何を基準に選ぶのかを持つことのほうが大切な場面があります。
「まず、会社のことを知る」という順番
対話の中で、A社長から「まず、会社のことを知らないといけないのかぁ」との言葉が出ました。
新しい事業を考えるとき、意識はどうしても会社の外へ向きます。
何が流行っているのか。
どんな市場が伸びているのか。
他社は何をしているのか。
もちろん、それも必要です。
ただ、その前に確認したいことがあります。
この会社は、何を大切にしてきたのか。
何を変えたいのか。
何は変えたくないのか。
何がすでに決まっていて、何がまだ仮説なのか。
外に答えを探しに行く前に、会社の中を一度整理する。
それだけで、探すものはかなり変わります。

あなたの会社では、何がもう決まっていますか
新規事業は何から考えるのか。
最初から事業案を決める必要はありません。
まずは、会社の今を4つに分けてみてください。
決まっていること。
仮説。
不明。
要確認。
書き出してみると、「何も決まっていない」と思っていた会社にも、すでに大切な判断がいくつかあることに気づきます。
そして、本当に考える必要があることも見えてきます。
新しい事業を考えることは、ゼロから答えをつくることではありません。
今あるものを確かめながら、次に決めることを見つけていくことです。
書き出した「まだ決まっていないこと」は、事業全体のどこにつながっているのでしょうか。
決まっていないことは、事業のどこにつながっているのか(準備中)
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